昨年から、お芝居を観ることに本格的にハマッている私です。最近観てとてもよかったのは、7月にアテネ公演も控えている蜷川氏演出の「オイディプス王」と、ただいま青山劇場で上演されている「浪人街」。前者はギリシャ悲劇、後者は時代劇(しかも痛快喜劇)というように、何もかもが違う作品でしたが、どちらも"やっぱり舞台はいい!"と感激するような素晴らしい舞台でした。しかし、あえて比較すると、私は前者の「オイディプス王」の方が、圧倒的に引き込まれてしまったのです。
もちろん片方は悲劇、片方は喜劇という、ただでさえ演出や観る側の心構えにも違いがある両作品ですが、内容の違いではなく、もっと単純な違いがありました。それは、役者の声が生声かマイクという機械を通した声か、という違いです。
お芝居が好きとはいえ、うんちくも何も語れず、よくわかっていない私ですが、生声とそうではない場合は、何かが違うということはわかります。生の声は、役者のパワーというか、目に見えない何かの力が観客にも伝わり、与えられるのです。今回はギリシャ悲劇ということで、演じる方も普通の舞台での声の出し方ではなかった、ということもあるようですが、とにかく生の声は、ものすごいパワーを感じるという事実を改めて実感しました。
文明の利器を否定する気は毛頭ありませんが、声に限らず、人から放たれるあらゆるエネルギーは、機械を通さない方がやはり伝わるのでしょうね。普段メールでのやり取りも多い私ですが、会って話すことで言葉や用件以上の、目に見えない何かも伝えることができるんだろうなと、ふと感じたのでした。